聖暦1939年、晩夏。
イベリコ半島での内戦に勝利したベルリア帝国は、大陸のライバルであるルテニア連邦が疲弊した戦力を立て直す前に大攻勢を仕掛けようと一計を案じる。
それは、ベルリアが併合しきれなかったポルスカの地において、連邦支持者の活動家たちが暴徒となり帝国に損害を与え、その報復として宣戦を布告する――という自作自演工作だった。
侵攻作戦の正当性を捏造するためには絶対に露見してはいけない汚れ仕事に、イベリコ内戦での評価の高かった四個小隊が実行役に選ばれた。
トリヒターヴィンデ、デージー、ホルテンズィエ、そしてローゼ。
舞台は国境沿いとなってしまった旧首都ルシャワ。
しかし、アーデルハイトにとってこの街は、因縁と忌まわしい過去が未だまとわりつくように残る曰くの街だった。
戦火の引き金となる責務が、少女に重くのしかかる。
1939 秋の渡り鳥作戦
ヒュアツィンテ小隊
Hyazinthe Zug
Michaela ミハエラ
聖暦1921年8月19日生。
ジェリコ属州ブリューン出身。
小隊長。
敬虔な正教徒の家庭に生まれた美しい少女。穏やかな見た目とは裏腹に、合理的に他者を蹂躙し嬲る手段としてエーリカを選んだサイコパス。小隊の双子からは「天使の名を持つ悪魔」と呼ばれている。
合理性を愛するが欲望には忠実。ブーツを履いた時の身長は175cmと長身。
Noah ノア
聖暦1924年6月3日生。
出生地情報なし。
小隊の狙撃手。物心ついた時から転々としていたため出生地は不明。また、エーリカ隊に入隊する前までの素性も一切不明。
見た目はふわっとしていて身長も低く、その愛らしい姿は相手の油断を誘う。しかしその正体は、ひまわりのような笑顔の下に素顔を隠す獰猛なハンター。
Chordad ホルダード
聖暦1923年3月2日生。
オトマニカ帝国クシュタンディノプル出身。
小隊の副隊長でモルダの双子の姉。
お調子者の妹と異なり、小隊の諫め役として動く。
幼い頃に連邦との領土問題による紛争から逃れるためベルリアへとやってきたが、異人種、異教徒であることを理由に迫害され、両親を失い、ストリートチルドレンとなった。隠密行動と接近戦が得意。
Mordad モルダード
聖暦1923年3月2日生。
オトマニカ帝国クシュタンディノプル出身。
ホルダの双子の妹。
陽気な性格でよくふざける。体調のミハエラを揶揄うのもいつもモルダで、その度にショットガンを向けられているが撃たれたことはまだない。
姉と同じく隠密接近戦が得意で、戦闘時には真っ先に切り込んでいく。
楽観主義者。
指揮官
Kommandeur
Kijoka Lolikoinen キヨカ・ロリコイネン
聖暦1912年2月27日生。
スコーネ連合王国 旧カレリア領タンシアクルキ出身。
幼少期に父に連れられ、ルテニアと戦争中のカレリアからベルリアへと亡命する。
帝国の軍人となった父を継いで彼女自身も軍人となる。
士官学校を出て間もなくして、エーリカ隊養成所の教官として着任。有能な教官であると同時に幼女愛好者としてエーリカたちに恐れられている(が、直接的な虐待はまだない)
女子には甘いが、男性に対しては容赦なく肉体言語を駆使する。
ベルリア語、スラヴ語、カレリア語を解するトリリンガル。
荒地のエーリカ
1939 秋の渡り鳥作戦
A5 表紙込み56頁 900円
